匣鉢の製造工程(アルミナ緻密セラミック)とは|株式会社丸栄産業合作社
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2019年11月22日 セラミックス専門家 江尻

匣鉢の製造工程(アルミナ緻密セラミック)

セラミックは熱を加えると、収縮することで原料粒が密着して硬くなります。この作業をセラミック焼成、または焼き締めといいます。

セラミックの焼成の意味と、4つの工程の具体的な内容を解説していきます。

・セラミックの焼成とは?

セラミックスを硬くするためには、焼成の作業が欠かせません。最初は原料粒間に水分やバインダーが挟まっていますが、焼成することで取り除くことが可能で、硬いセラミックができあがります。

・原料粒子の密着を促し隙間を小さくすること

セラミックスの原料を成形し加熱すると、隣り合った原料粒の隙間が小さくなります。熱を加えると全体が収縮し、原料粒が密着することで硬さが出ます。セラミックスを加熱して硬く仕上げるための工程が焼成で、または焼き締めともいいます。

・高温での焼成は硬いセラミックスができあがる

セラミックの加熱は、温度が高ければ高いほど加工製品は硬くなります。しかし一気に熱を加えても壊れてしまうため、ゆっくりと熱を加えていきます。より硬いセラミックスを求めるのであれば、高温での焼成に加えて、原料粒が小さなものを選びましょう。

焼成温度が1,000℃付近から密度が高まります。1,400℃だとまだ収縮は不十分で、1,500℃以上になると密度が高い焼結体ができあがります。焼成方法によっても温度は異なるため、確認しておきましょう。

・数段階あるセラミックの焼成工程

セラミックスの焼成までは、焼成と合わせて4つの工程があります。焼成だけでなく、その前の工程もセラミックス製品の質に左右します。

・1. 原料の調合や粉砕をして混ぜ合わせる

まずは、原料粉末を混合します。混錬機や、ボールミルを使います。ボールミルの場合には、原料粉末・水などの溶媒を入れてかき混ぜます。装置を回転や振動させることで、原料粉末を均一にし、バインダー(粘結剤)を添加させ調合します。調合された原料のことを「スラリー」と呼びます。原料粉末の調合はセラミックス製造プロセスの中でも極めて重要です。

・2. 成形してから焼成の作業に入っていく

原料粉末は、ゴム型や金型に充填し上下から圧力をかけて成形させます。周りを削る必要がある場合、成形したセラミックスは研石などを使って削り形を整えなければなりません。

複雑な形状が求められる場合は、粘土状にしたものを押し出し成形するやり方や、型に加圧充填させる方法もあります。いずれにしても焼成で収縮するため、仕上がりのサイズを考慮しての成形が必要です。

・3. 温度をゆっくり上げて壊れないようにする焼成

セラミックスの焼成は、一気に熱を加えて割れないように、徐々に温度を上げていくやり方です。熱を加えることで水やバインダーが除去され、原料粒子が密接し硬く仕上がります。最初は徐々に温度を上げながら、中間はより高温にして収縮させます。最後の冷却でも素材によって収縮がおこるため、素材に合わせた温度調節が必要です。

セラミックスの焼成では、ホットプレスを用いた方法もあります。ホットプレスは高温下で成形体に圧力を加えるやり方です。高い圧力を加えることで、内部に隙間ができにくく、緻密な焼結体が得られます。ただし、平板や円板など単純形状のものしか成形できません。ホットプレスは、短時間での製造が可能で、高純度高密度の焼結体作成に向いています。

ほかにも熱間静水圧加圧焼結(HIP)と呼ばれる、焼結体を作る方法もあります。通常は充填率が60%で加工しますが、HIPは最初に理論値95%まで密度を高めてから、高温化で周囲より圧力をかける方法です。加熱炉を組み込んだ圧力容器に成形体を入れ、加熱しながら圧力1,000~2,000気圧のガス圧をかけていきます。

・4. 焼成したものを削り成形していく

セラミックスは硬度が高いため、削るときはダイヤモンド研石などを使います。研削や研磨の作業は、表面を滑らかにし部品の精度を高めるため大切な工程です。セラミックスを金属などと組み合わせる場合は、接着剤などを用いて一体化させます。または表面に金属粉末などを焼き付けることで、メッキ処理が可能です。さらに製品の品質を保つための検査を経て、セラミック製品が出荷されます。

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