2019年11月22日 セラミックス専門家 江尻
工業製品の材料の一つであるセラミックの利点は、耐火性、耐摩耗性に優れていることです。
寿命は製品や使用方法によって大きく異なります。セラミックを使うと長く使い続けられる製品を生み出せることが魅力ですが、欠点も存在します。セラミックのよい点と悪い点を把握し、セラミックの特性を上手く引き出しましょう。こちらで、セラミックとは何か、その利点と欠点について詳しく解説いたします。
セラミックは、丈夫で耐摩耗性が高く、長年愛用するような製品の材質に最適です。一方で、セラミックには欠点もあるため、使い方を誤るとすぐに破損してしまいます。
セラミックとは、非金属の無機材料の総称です。身近にあるセラミック製品として、陶磁器などが挙げられます。
セラミックで作られた製品はセラミックスと呼ばれていますが、セラミックとセラミックスがほぼ同じ意味で用いられることも多々あり、厳密に使い分けられている訳ではありません。
セラミックスは、耐熱性、耐摩耗性、断熱性、絶縁性などのさまざまな特性を有しており、これらの特性を活かして工業製品に活用されています。
一口にセラミックといっても、ガラスや陶磁器などさまざまな種類があるため、セラミックの寿命を定めることは困難です。また、作られた製品や使用方法によってもセラミックの寿命は大きく変化するため、明確な寿命を述べることはできません。
ただし、セラミックは耐摩耗性、耐熱性などを有する材料であるため、長持ちする材料であることは間違いないでしょう。以下でセラミックの特性について、利点と欠点を詳しく解説します。
セラミックの最大の特徴は熱に強い点です。たとえば、セラミックの一つであるアルミナの融点はは2,054度です。また鉄の融点は1,535度、銅は1,084度となっており、このことからセラミックがいかに熱に強いかが分かります。
このように高い耐火性能がセラミックに備わっているため、セラミックは熱いものを入れる容器として活用されることがしばしばあります。
たとえば、高温でドロドロになるまで溶かした金属は、1,000度を超える温度にまで上昇しており、普通の容器では溶けてしまいます。そこで、セラミック製の容器に金属を流し込めば、溶けることなく保管することができます。
そのほかにも、この耐火性を活かして、放火壁やスペースシャトルの材質にもセラミックは利用されています。
セラミックは、高硬度で耐摩耗性に優れた素材です。この特性を活かして、部品の交換頻度の高い摩耗しやすい部分をセラミックに変えることで、製品を長持ちさせることができます。
そのほかに、この硬さを活かして、研磨剤として使用したり、包丁などの刃物の材質として利用したりすることもよくあります。
セラミックは、電気を通さない、いわゆる絶縁体の性質を有しており、感電を防止するためのコーティング材としてもよく利用されています。
感電防止のための被膜には、樹脂が用いられることが多々ありますが、これをセラミックに変えると、耐久性に優れた被膜となり、長寿命で部品の交換頻度が少なくなります。
このセラミックの絶縁性を活用した身近なものが電線です。電線は、高電圧の電流が流れており、むき出しの状態では大変危険です。そこで、碍子(がいし)と呼ばれるセラミックで電線の覆うことで、感電を防いでいます。
セラミックは、磁気を有するものもあれば、非磁性のものもあります。非磁性のセラミックであれば、磁気の影響で金属が使えない場所でも利用できます。
たとえば、モーターは磁石の力を活用して電力を得る装置であり、部品によっては金属であると不都合な場合があります。そこで、金属が使えない部分をセラミックで代用することで、部品がモーターの磁気の影響を受けることがなくなります。
セラミックは、ステンレスなどの金属よりも軽く、部品の一部をセラミックに代替することで製品の軽量化が可能です。
もちろん、セラミックは金属のように頑丈で耐火性能に優れた素材であるため、品質を落とさずに金属からセラミックに部品を代替することは十分可能です。
セラミックは、熱に強く、硬さもあり、工業製品に優れた材質です。しかし、そんなセラミックにも欠点はあります。
セラミックは、金属のように硬い素材ですが、強い衝撃に弱く、割れてしまうことがあります。硬いのにも関わらず衝撃に弱いというのは少し分かりにくいですが、ガラスコップやお茶碗を想像してみればイメージしやすいでしょう。
ガラスコップやお茶碗は、指で触れれば硬いことが分かります。しかし、不意に地面に落としてしまうと簡単に割れてしまいます。このように、セラミックも硬さはあるものの、衝撃を与えると割れてしまいます。
セラミックは熱に強く、3,000度以上の高温にも耐えられます。しかし、急激な温度変化には弱いです。そのため、急激な温度変化が生じるような環境での利用には不適です。
セラミックは耐熱性や耐久性があるため、長年使用するような製品の材料に適しています。消耗部品をセラミックのものに変えることで、部品の交換頻度が減り、維持・管理が楽になるでしょう。
ただし、セラミックにも欠点があり、万能ではありません。寿命は使用状況によっても変わってきます。利点と欠点をしっかり把握したうえで正しくセラミックを扱いましょう。
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